覚えるということ

私は記憶力が悪いので、勉強で苦労する。

 

世間でよく言われるのは、何かを覚えるときは一定の期間で繰り返し思い出してアウトプットするのがいいと言われている。エビングハウス忘却曲線とか。私もこれを聞いて、中学生の頃、フラッシュカードや単語帳を作り、細かく決めた復習のタイミングを意識して「お勉強」にいそしんだ。だが、そういった瞬発的、脳筋的、単調なお勉強は続かない。復習自体がめんどくさいし、そもそも本質的に賢くなった気がしないからである。つまり薄っぺらいと感じてしまう。これも前回書いた卵の問題と同じで、安っぽいものと正しいものは何かを考えさせられる問題である。

 

私が行き着いた一つの答えは、深く調べ、覚える対象のことをよく知ることである。極端な話、どんな変わった名前でも恋人の名前は忘れないものだ。なぜか。それはよく彼女のことを深く知っているからである。顔つき、声、匂い、所作、出自、そういったものが総合されて自分の中でイメージが出来上がっている。それほど親しい存在の名前は覚えてしまう。名前が自然と出てくるのは、強力なイメージに押し出されるようなものだ。名称というのは不思議で、それは一見すると氷山の一角であり、本質への理解が進めばイメージを包括する魔力を持ち得る。

 

今はググればいくらでも情報はみつかるので、覚えられない何かを覚えるときには、アウトプットを意識した瞬間的な記憶力を鍛える前に、逆に深く深く調べ、全体的なイメージをつくるのがいいと思う。