生化学メモ1
解糖系は、グルコースをピルビン酸まで嫌気的に分解する反応である。高校生物ではサラッと流されるが、11種類の酵素が関与する非常に複雑な反応である。以下の点を注意して理解するとよいという個人的なメモ。
1.炭素数、炭素骨格とリン酸基を追いかけると覚えやすい。リン酸化する酵素であるキナーゼが4つ(HK/GK,PFK-1,PGK,PK)出てくる。リン酸基の出どころはATPを加水分解するわけだが、リン酸基が取れるのに「キナーゼ」という名前を冠しているものがある。これは逆反応に対してついている。すなわち逆にATPを合成する反応である。これを理解していると3の理解も促される。
2.不可逆反応がどこか、意識する。不可逆的な反応があるから一方向に反応が進むのである。また糖新生への理解につながる。糖新生は解糖系とは逆にピルビン酸からグルコースを作る反応だが、このとき不可逆反応をいかにして戻るのかに注意できるようになる。
3.解糖系ではグルコース1分子からATPとNADHが二分子ずつ作られる。ATP合成は1を理解していれば、容易に覚えることができる。またNADHはピルビン酸から乳酸を作る反応と共役していることを意識する。
4.アロステリックエフェクターとホルモンによる調節を意識する。(フルクトース-6-リン酸という同じ分子から作られるフルクトース1,6ビスリン酸とフルクトース2,6ビスリン酸がホルモンによって巧妙に調節されているのは非常に興味深い。)
5.PKA(プロテインキナーゼA)には基質を直接リン酸化して酵素の活性を変えるはたらきと、転写因子(CREB)を介して転写活性を変えることで酵素の合成量を変えるはたらきの2つがある。