幼年期の終わり(クラーク)

前から読みたかった本。読みかけて放り出すを繰り返していたので時間がある今、一気に読んでみた。

 

SFの金字塔らしいが、1953年に書かれたものゆえにありきたりな発想に感じられて正直後半に行くにつれてつまらなく感じた。娯楽の少なかったであろう60年前に読んでいたら、目からうろこだったかもしれない。多くの作品の下敷きになっているため、エヴァを観てからこれを読んで「つまんね」て感想持ったらいかんのだろうが。

 

何か作品を読むと、そこに作者の意図を考える悪い癖がある。何が言いたいのかわからなくて、モヤモヤして解説をいろいろ探ってみたがどれも納得のいくものなし。

 

アリやハチといった社会性昆虫には個ではなく集団によって形成されるマインドが存在する。新世代の人類も「超能力」の発現により統合されたマインドを形成し、さらにそれは宇宙レベルでの巨大精神集合体、オーバーマインドに吸収されていく・・・

 

はい、意味不明。

 

おそらく超能力に対するクラークなりの妄想を小説にしただけで、深く考えても意味はないと思う。小説ってそんなもんだ。何か説明できない部分が人々を惹きつける。彼は数理系の科学者であり、20世紀の驚異的な科学の進歩を目の当たりにしてきた。そのため、超能力や神通力として過去語られてきた力が実際は存在し、それはいずれ科学的に説明できる、いやできたら面白いと思ったことだろう(現に量子力学の観点から見ると日常感覚では決してありえないことが理論的に起こりうる)。そしてさらにその超能力は人類を最終の目的に導くものだと妄想しワクワクしたはずだ。当時の米ソ対立や根深い人種差別の問題などをベースに読ませる小説を書いてみたのであって真面目に考察すると痛い目に合うと思う。