名古屋のホームレス女性のこと

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ホームレスを笑いものにする動画が投稿され炎上していました。許せないですね、こういう輩は。SNSで注目されたいがために、弱者を喰い物にしたわけです。驚いたことに「助けを差し伸べているのに感謝もせず、さらにお釣りを返さなかったホームレス女性も悪い。彼女にも非がある。」という主張をする人がいますが、動画を撮影している連中が1000%悪い、いや気持ち悪いです。

 

まず切実にお金に困っているホームレスの方がお札を渡されると、どんな気持ちになるかは容易に想像できます。嬉しいでしょうし、手放したくないとも思うはずです。奴らはその気持を分かっていて、あえて1万円を渡したわけです。1万円という大金をホームレスに渡し、好きなものを買いに行かせ、その様子を撮影し投稿する行為そのものに快感を覚えていたわけです。自分たちは良いことをしてあげている、という言い訳を盾に。私が思う一番気持ちが悪いと思うポイントです。もし仮にお金を返しており、今回のような炎上につながらなかったとしても、ホームレスに対する偽善行為により快感を得るという行為そのものが問題の病巣であるということは強く意識しなければなりません。

 

彼らの偽善オナニーはお釣りの返金によってフィニッシュを迎えるはずでした。つまり彼らは数千円で他人の尊厳を踏みにじり、自分たちの快感とSNS上での承認欲求を買おうとしたわけです。なんと安いものでしょうか。だがホームレスの女性はお釣りを返さなかった。想定外。こりゃ赤字だと良い年した輩達は数人で取り囲み、さも正当な権利だと言わんばかりにヘラヘラ笑いながらお金を返せとまくし立てた。本心では見下してるから素が出てしまうんだよね。見苦しいことに。本当にお釣りを返してほしいなら、警察に相談するのが筋ですが、心から彼女の助けになりたいと思うのなら1万円のお釣りが帰ってこなかったとしても黙っているものでしょう。

 

さらにお釣りが返されなかったことをネット上で共有して、別の若い女性が今回このような「成敗」を行いました。つまりSNS上において集団でホームレス女性を複数にわたり弄んだわけです。本人曰く500円までだといったのに、カゴに多くの品を入れられたので逃げたらしいです。そんな些末なことはどうでもいいのです。問題はバカにしてたかどうかです。見下して面白がってたのに、ごちゃごちゃ言い訳しやがって見苦しいのです。いくら言い訳しても醜い心は伝わります。これは他人事ではありません。社会が長年にわたり積み上げてきた、人間の尊厳や弱者への思いやりを踏みにじる行為です。いわば社会に対する挑発行為であると受け取られるわけです。

 

いつかホームレスになるかもしれないので優しくしましょうという意見があります。一理ありますし、このように理論武装してみたこともありますが、これはあまり血が通った考えでなく、さらに理論的にも欠陥があると今回思いました。ホームレスになる可能性がゼロもしくは限りなくゼロに近い場合はこの意見は通用しないのです。一般市民を説得するには十分かもしれませんが、真の理屈とはいえないのです。理屈で説明しようとするあまり歪な形になっているような気がするのです。おなじような話で、「生存戦略上弱者を守ってきたことが種としてどうたらこうたら」というのもありますね。理屈抜きで困っている人は助けたいと思う、そんな内発的で自然な優しさって理屈で説明できるんでしょうか。気になります。